個人年金の受給権は相続税の課税対象に含まれる?

個人年金の契約者(被保険者・保険料支払者)が亡くなって被相続人となった場合、年金受給権は相続財産に含まれますので評価額を含めて相続税の申告や納付を行う必要があります。年金受給権の評価方法は次の3種類ですが、この中で最も金額が高い金額を年金受給権の評価額と判断します。

・年金受給権を取得したときの解約返戻金金額

・年金以外の一括給付を受けることが可能な場合のその一時金の金額

・年金の残り期間に応じた1年当たりの平均額に、契約の予定利率による複利年金現価率を乗じた金額

年金受給権による遺族の年金受け取りについて

遺族が年金受給権で毎年年金を受け取る場合には、2年目以降には雑所得として所得税、住民税が課税されることになります。個人年金の種類や受け取る人の収入によって所得税額や住民税額は変動しますが、給与などの一般的な収入の場合と比較するとかなり低い金額になるでしょう。

相続税と所得税の二重課税になる?

相続した時に年金の受給権を取得した分に対する相続税が発生し、年金を受け取った時にも所得税がかかれば二重課税になってしまいます。そのため相続税の課税対象になった部分については、所得税の課税対象にはならないことになっています。毎年の年金の受け取りで所得税や住民税の課税対象となるのは、相続税の課税対象にならなかった部分のみです。平成12年分から平成21年分までの間で二重課税が発生している場合には、所得税が還付されますので手続きを行うようにしましょう。

退職年金は相続財産に該当する?

企業年金制度のある会社の場合、退職金の一部を年金形式として受け取ることが可能な「退職年金」があります。退職年金を受給している被相続人が亡くなった場合には、残った期間の退職年金については遺族が受け取ることができます。

退職年金は相続税の課税対象

退職年金は相続財産に含まれることになっていますので、相続税の課税対象として扱われます。退職年金を受け取る権利は被相続人が持っていますので、相続や遺贈により取得したとみなされます。遺族などが退職年金を受け取る場合には雑所得になりませんので所得税の課税対象にはなりません。個人年金の場合とは異なるため注意しましょう。

遺族年金は相続財産と判断される?

被相続人が公的年金に一定期間以上加入していた場合、支給要件を満たす場合には遺族に対して遺族年金が支給されます。遺族年金は生命保険と同じく加入者が亡くなることで財産請求権が発生するという点に注目した場合、年金の請求権は相続財産とみなされて課税対象になるように思われます。しかし遺族年金の場合には受給権者や支給規定については、個別に定められています。

遺族年金は相続税の課税対象外

遺族年金は相続財産に含まれませんので相続税の課税対象外です。遺族の生活保障のために支給される目的の年金のため、課税の対象外になっていて相続税だけでなく所得税も課税されません。課税対象から外れる遺族年金の種類としては、次の法律によるものに限られます。

・国民年金法

・厚生年金保険法

・恩給法

・旧船員保険法

・国家公務員共済組合法

・地方公務員等共済組合法

・私立学校教職員共済法

・旧農林漁業団体職員共済組合法

相続税等の課税対象になる年金受給権

上記の遺族年金に該当しなければ相続税の課税対象となります。遺族年金に切り替えるという場合には課税の有無を確認し、課税対象になる年金受給権に注意しましょう。例えば次のようなケースが相続税の課税対象となる例として挙げられます。

・被相続人の死亡が在職中だったことで死亡退職となり、会社が運営委託していた機関より遺族へ退職金として支払われることになった年金などは注意しましょう。この年金については、死亡した人の退職手当金となるため相続税の対象となります。

・被保険者、保険料負担者、年金受取人が全て同じ人の個人年金保険の契約の場合、年金支払い保証期間内にその人物が亡くなったことで遺族が残りの期間の年金を受け取ることになった場合も注意しましょう。

このようなケースでは、亡くなった人から年金受給権を相続や遺贈で受け取ったとみなされますので相続税の課税対象になります。

年金受給権は死亡により消滅する

年金を受け取る権利は、受給者が死亡するとなくなってしまいます。そのため死亡から14日以内に、第1、2号被保険者の場合は市町村長、第3号被保険者の場合は社会保険庁長官へ年金受給者死亡届を提出する必要があります。届出の義務は戸籍法によって定められている死亡届の届出義務者です。届出を行う際には、死亡届以外にも、死亡の事実を証明する戸籍謄本や死亡診断書などの書類が必要です。年金受給者が死亡すると、年金受給者に生計を維持されていた遺族は遺族年金を受け取ることができる場合があります。遺族年金(給付)裁定請求書に所定の書類を添えて、年金相談センターや社会保険事務所に提出しましょう。

未支給年金は相続財産?

国民年金も厚生年金も、年金として受け取ることができるのは2か月に1回のサイクルになっています。そのため年金受給者が亡くなった場合には1か月分の年金分は未支給という状態になります。この未支給年金については、遺族の生活保障の一部として支給されたお金と解釈されるため相続財産に含まれませんので相続税の課税対象にもなりません。

未支給年金請求権が与えられるには条件がある

ただし、遺族の生活保障のために支給される年金ということで条件が定められています。被相続人と生計が同じであること、配偶者や子供、父母などが請求者であることなどが条件となります。条件を満たす遺族には未支給年金請求権が与えられますので、未支給年金を受け取ることが可能です。未支給年金は相続税の課税対象からは外れますが、一時所得として扱われます。そのため所得税の対象となりますので、年間の受取金額が50万円を超えた場合には申告が必要となり他にも所得がある場合には注意が必要です。

遺産分割の方向性は前もって決めておくほうが良い

将来相続は必ず起こるものと考え、資産を守って円滑に引き継いでいくためには事前の対策が肝心です。遺産分割で揉め事となる件数の大半が、相続財産5,000万円以下のケースが多いです。相続財産についても分割が困難な不動産が半分を占めるなど、家族が争わないためには遺産分割の方向性を事前に決定しておくことが大切になるでしょう。まずは基礎控除を超える部分が相続税の課税対象ですので、財産がどのくらいあるのかを把握して相続税の対象となるかを確認しましょう。相続が発生すれば遺産分割と納税手続きを行う必要がありますが、相続税の申告期限は原則として10か月以内に行う必要があります。

相続への備えに年金・保険の生命保険機能の活用を

生命保険を相続に活用する場合には、お金に名前をつけて遺すことができます。事前に受取人を指定すれば、誰がどのくらいのお金を受取ることができるのか決めることが可能です。生命保険金は遺産分割の対象から外れますので、すぐに使うことができるお金を準備することになります。預貯金は口座が凍結されてしまい遺産分割協議が終わらないとお金が引き出せなくなりますが、生命保険金は受取人単独が請求すれば現金化することができます。さらに預貯金は全額相続税の課税対象ですが、死亡保険金の場合には非課税枠が設けられています。

相続税と年金の関係に注意

契約者が被相続人の個人年金の年金受給権は相続税の対象となり、退職年金も相続税の対象です。遺族年金と未支給年金は年金の性格から相続税の対象からは外れますが、未支給年金については所得税の対象にはなります。このように年金には様々な種類があるため、受給方法などで税金の扱いも複雑になり状況に応じて確認していくことが必要です。