知っている人だけが得をする!?マンション総合保険の破損補償を解説

みなさんこんにちは。保険相談ラボ編集部です。

マンション総合保険の基本的な補償内容は、建物にかけられる火災保険と同じです。

マンション総合保険には、一般的な火災保険に加えて、マンションの共用部分に特有の被害を補償できたり、管理組合・理事会・役員のための特約を付けることができたりします。

その、マンション総合保険の補償の中でも、ぜひ知っておいてほしい『破損・汚損等』という補償について解説します。

実はこの『破損・汚損等』の補償は、知っている人と知らない人では大きな差が生まれちゃいます。

さらに、今回はマンション総合保険のお話なので、マンションの共用部分の解説ですが、住民が個人で加入している火災保険の『破損・汚損等』の補償も同じ内容なので、個人の火災保険にも関係する、知っている人だけが得する内容です。

マンション総合保険と個人で加入している火災保険の両方の保険証券をチェックしちゃいましょう。

目次

破損・汚損の補償とは?

破損・汚損補償とは?

まずマンション総合保険の『破損・汚損等』の補償は、基本補償に含まれているのか、オプションとして任意で付けるのか、保険会社によって違うので注意が必要です。

保険の案内を聞いて、「安いから」とすすめられたプランに加入したら、実は「補償の内容が薄かった」というのはよくある話です。

マンション総合保険では、『破損・汚損等』の補償がどこに当てはまるのか、しっかりと確認しましょう。

不測かつ突発的な事故の損害を補償

『破損・汚損等』の補償では、「不測かつ突発的な事故」と呼ばれる被害に対応しています。

「不測かつ突発的な事故」という言葉、ちょっと難しいですね。

「不測かつ突発的な事故」という言葉を分解すると、

  • 不測=予想できない、思いがけないこと。
  • 突発的=思いがけず事が起こるさま、突然なさま。

つまり、予想もしていなかった事が突然起こった場合の事故を補償の対象としています。

少し意味が狭くなりますが、わかりやすく言い換えると「うっかり壊しちゃった」事故と表現できます。

マンション総合保険を含めた火災保険全般で言えることですが、「自分の責任で起こしてしまったものは対象外」と勘違いされている方が非常に多くいらっしゃいます。

とても、もったいない!

実際には、故意(わざと)でなければ、本人のミスで起きてしまったことは、対象になることがほとんどです。

ただ、「窓の開けっ放しによる吹込み」は対象外ですので、その点だけは注意してください。

つまり、「うっかり壊しちゃった」という事故は、マンション総合保険や一般の火災保険で補償の対象になるのです。

この『破損・汚損等』の補償は、基本補償のプランに入っている保険会社もあれば、オプションの特約として用意している保険会社もあります。

当然ですが、『破損・汚損等』の補償がカバーされていない契約では、対象になりませんので、ご注意ください。

保険会社によって多少名称の違いはありますが、「破損の補償」といえば、間違いなく通じるはずですので、一度チェックすることをおすすめします。

『破損・汚損等』の事故例

マンション総合保険の『破損・汚損等』の補償で対象になるのは、「うっかり壊しちゃった」事故とご案内しましたが、加害者が不明の損害も対象になります。

では、具体的に事故例を見ていきましょう。

『破損・汚損等』の事故例
  1. マンションの駐車場で子供が遊んでいて、サッカーボールを蹴ったら、共用部分の窓ガラスを割ってしまった。
  2. 理事会終了後に清掃を行ったら、ホワイトボードを倒し集会室の壁を壊してしまった。
  3. エレベーターの操作パネルのボタンを誰かが強く押しすぎたようで、気がついたら壊されていた。
  4. マンションの住民が物干し竿を交換しようとしたら、誤ってバルコニーの仕切り板にぶつけ、板を割ってしまった。

「あ〜、やっちゃった」というような例が多いと思いますが、まさに「うっかり壊しちゃった」事故なんです。

ちなみに、個人契約のパターンも見てみましょう。

個人契約(個人宅)での『破損・汚損等』の事故例
  1. 模様替えでソファーを動かしたら、リビングの窓を割ってしまった。
  2. お風呂で思いっきりノビをしたら、浴槽を壊してしまった。

※家財も補償に含めている場合は、家財も補償されます。

マンションの住民が共用部分を壊してしまった損害に関しては、『破損・汚損等』の補償以外に、『個人賠償責任補償』での支払いも考えられます。

マンション管理組合が住民に賠償金を求める形で、住民の『個人賠償責任補償』を使うパターンです。

簡単に表現すると、住民が『個人賠償責任補償』を使って、管理組合に弁償するということです。

マンション総合保険の『破損・汚損等』の補償では、免責金額を最低でも3万円などに設定する必要があるため、損害が少額の場合には注意が必要です。

免責金額とは?
免責金額とは、簡単に言い換えると自己負担金額というものです。
たとえば免責金額が3万円という設定の場合、3万円までは自己負担、つまり自腹で払います、ということです。
仮に3万円の免責金額を設定していて、10万円の損害が発生した場合には、3万円を自己負担、残り7万円が保険から支払われるという仕組みです。

つまり、住民がマンションの共用部分を「うっかり壊してしまった」けども、修理代が2万円くらいの少額だった場合は、免責金額の関係でマンション総合保険の『破損・汚損等』の補償が適用できないというケースが存在します。

その場合は、『個人賠償責任補償』を使えるケースがありますので、あきらめずに確認してみましょう。

『破損・汚損等』補償の対象とならないケース

破損・汚損補償の対象とならないケース

マンション総合保険の『破損・汚損等』の補償でも保険金が支払われない、要注意のケースがありますのでご紹介します。

給排水設備自体の損害

マンション共用部分の事故で起こりやすいといわれている給排水設備事故ですが、給排水設備事故よる水濡れの被害は保険の対象となりますが、破損した水道管自体の修理は補償の対象外です。

マンション管理組合としては、破損の中でも一番補償してほしい損害ですが、多くの場合水道管の老朽化が原因のためか、保険会社では保険金を支払えないとしているところが多いです。

マンション共用部分の給排水設備に関しては、定期的なメンテナンスが重要となります。

給排水設備のメンテナンス状況によって、保険料の割引に影響することもありますので、トラブル防止の観点や資産価値を高めるためにも、特に給排水設備のメンテナンスは重要です。

給排水管の事故については、『水濡れ損害』と、『水濡れ原因調査費用』に関しては、保険金の支払対象となります。

修理業者などが破損させた場合

マンション共用部分の修理のために作業をしていた修理業者が壊した場合は、たとえ修理業者が点検や作業の際に「うっかり壊してしまった」としても、その業者に賠償金を求めるのが優先されます。

プロが行う作業中の破損事故ですので、プロに弁償してもらうべきですね。

賠償金が払われた場合には、マンション総合保険からの支払いはありません。

一方、プロではない住民が共用部分の点検やちょっとした作業で壊してしまった場合は、『破損・汚損等』の補償の対象になります。

また加害者が特定されている場合でも、相手が賠償金を支払えない場合には、保険会社が対応してくれるケースもありますので、相談しみてもいいかもしれません。

マンション総合保険の『破損・汚損等』補償について まとめ

「うっかり壊しちゃった」という理由で、保険の対象になるなんて知らなかったという人がほとんどではないでしょうか?

管理会社や保険会社に連絡せず、自腹で直してしまうケースもあるかと思います。

そうなると、保険が使えるかどうかの判断もできないので、せっかく使える保険に加入していたのに保険を使わなかったという、もったいないことが起こります。

マンション総合保険や火災保険などの損害保険は、補償される場合と補償されない場合が保険会社側で設定されているので、全部を知ろうとするのは現実的ではありません。

だからこそ、保険会社や保険代理店に問い合わせてみると、意外なことで保険金が受け取れることもあります。

自分で判断せず、きちんと問い合わせてみることが必要です。

聞くのが恥ずかしく感じることもあるかもしれませんが、保険会社や代理店は慣れているのでなんとも思いません。

「保険の対象になればラッキー」くらいの気持ちで問い合わせても大丈夫です。

保険について、気軽に問い合わせできる代理店を見つけるのも大切です。

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