マンション総合保険で雨漏りは補償されるの!?具体的な事例でご紹介

みなさんこんにちは。保険相談ラボ編集部です。

日本では春から秋にかけて、梅雨、ゲリラ豪雨、台風、秋雨と雨が降ることが多くなります。

このような時期は、お客様からこんなお問い合わせが増えてきます。

窓の建付けが悪くなっていたようで、そこの窓から雨漏りがしている。壁紙がふやけてしまってダメになっちゃったんだけど、加入しているマンション総合保険でなんとかならないかな。

台風が来たとき、一箇所だけ窓を締め忘れてしまって、建物内が水浸し。保険の対象にならないかな・・・。

このように雨水が建物の中へ入ってきてしまった場合に、保険が使えないか? というお問い合わせです。

そんな疑問を解消すべく、マンション共用部分の火災保険であるマンション総合保険の雨漏りの対応についてお話します。

マンションの雨漏り損害は、賠償責任補償にも関係!?

マンションには、被害箇所と雨漏りの原因箇所の関係によって、誰のどの保険で対応できるのか、または、全く対応できないかが変わってきます。

例えば、マンション共用部分の管理不足により雨漏りが発生し、住民の部屋に損害を与えてしまった場合は『施設賠償責任補償』での対応になります。

今回は、あくまでもマンション共用部分への雨漏りの損害についてお話します。

マンションに関わる水濡れ全般の損害については別途ご案内します。

目次

雨漏り発見! まずは原因を確認!

雨漏り発見! まずは原因を確認!

マンション共用部分に関する雨漏りの被害をマンション総合保険で補償できるかどうかは、雨漏りがなぜ起きたか? という原因が重要になります。

結論から言うと、マンションの共用部分に関する雨漏り損害は、経年劣化や雨漏りする要因がもともと存在していた場合は、保険の対象となりません。

こんな雨漏りの原因は対象外!

  • 窓を締め忘れて、窓が空いていた!
  • 地震でマンションにヒビが入り、そこから雨水が内部に浸入してきた
  • 経年劣化で屋上の防水層に穴が空き、そこから雨水が浸入

上記のように、もともと隙間があったり穴が空いていて、そこから雨水が入ってきた場合は、マンション総合保険では対象外なんです。

誰が考えても、「もともとそんな状態では、水が入ってきちゃうよね」と言われてしまうようなことが原因だと、対象外になってしまうケースがほとんどです。

では、具体的にどんな原因であれば雨漏りの被害が補償されるのでしょうか?

台風などで建物に被害があった結果入ってきた雨

マンション総合保険は、マンション共用部にかける火災保険ですから、火災保険の補償内容で、考えていきましょう。

一番わかりやすい『風災』という補償から見ていきます。

『風災』は風や台風、竜巻で建物に損害があった場合の修理代を補償する内容です。

台風、竜巻でマンション共用部分の外壁が剥がれた、窓ガラスが割れた、屋上が壊れたという場合に補償される内容です。

まず、その壊れた共用部分の修理代が保険の支払対象になります。

さらに、外壁や窓ガラスなどの建物外部が壊れたことによって、建物内部に雨水が浸入し損害が発生した場合は、建物内部の損害も支払いの対象になるのです。

風災による雨漏りの例
台風で外部から看板が飛んできてエントランスの自動ドアのガラスが壊れてしまった。雨も強かったのでエントランス内にも雨が吹き込み、エントランスホールが水浸しになり、壁等に損害が生じた。

この場合は、エントランスの自動ドアの修理代はもちろん保険の対象になります。

さらに、エントランスホールの壁等の修理代が保険の対象になります。

風災による雨漏りのまとめ

風災によって、マンション共用部分である建物外部に損害が発生し、そのせいで、共用部分の内部にも雨が浸入し損害が発生した場合、建物外部も、建物内部も『風災』で補償されます。

排水管のつまりでオーバーフロー

続いての補償は、マンション総合保険の『給排水設備事故による水濡れ損害』という内容です。

少し長ったらしい名称ですが、給排水設備に不具合が生じたことによって、水が漏(も)れ、水に濡(ぬ)れて損害が発生した場合に補償するという内容です。

『給排水設備事故による水濡れ損害』
これは、保険会社によって多少名称が違いますので、ご注意ください。
また、オプションだったり、契約した補償プランによっては、対象にならなかったりするので、契約内容を確認してください。

もう少し具体的に『給排水設備事故による水濡れ損害』について考えてみましょう。

『給排水設備事故による水濡れ損害』の事故例その1
マンション共用部分の給水管が古くなり破損して水が漏れてしまいました。
その結果、共用部分の廊下の天井に水が漏れ、天井にシミができてしまった。

この場合、共用部分の廊下の天井に損害があるので、天井の修理代が補償の対象になります。
一方、共用部分の給水管の破損は対象外です。
これは、老朽化、経年劣化ですので、仕方ありません。
パンフレット等にも「給排水設備自体の損害は対象外です」と記載されています。

今回は、共用部分の損害について説明していますが、共用部分の給水管の破損事故により、住民の個室へ水漏れが発生した場合は、『施設賠償責任補償』での対応になります。

ここまでは、給排水管自体の破損なので、雨は関係ありませんでしたが、『給排水設備事故による水濡れ損害』の雨に関する事故例をご案内します。

『給排水設備事故による水濡れ損害』の事故例その2
大雨により屋上のゴミや枯葉、苔などが一気に流れ、屋上の排水口をつまらせてオーバーフローが発生。
溢れた水のせいで、最上階の廊下の天井が落下した。

これは、給排水設備が壊れたわけではありませんが、排水口が詰まったという不具合が発生しています。

排水口のつまりという原因によって、マンション共用部分である最上階の廊下の天井に損害が発生していますので、『給排水設備事故による水濡れ損害』の対象になるのです。

こちらも、共用部分の廊下の天井の修理は対象になりますが、詰まった排水口の復旧費用は対象外です。

雨漏りがマンション総合保険の対象とならない場合

雨漏りがマンション総合保険の対象とならない場合

同じ雨漏りでも、補償されない場合があります。

ここまでご案内した補償内容は、雨漏りが発生する原因が、雨漏りの直前に発生していました。

「外壁が壊れた」「ガラスが壊れた」「排水口が詰まってオーバーフロー」などが起きた結果、雨水が共用部分内部に浸入して被害が発生しています。

雨漏りによる損害は、その原因が重要だと説明しましたが、補償の対象外となってしまう原因について主なものをご紹介します。

老朽化

マンションの雨漏りの原因として、代表的なものが老朽化による雨漏りです。

単なる経年劣化により、壁や柱にヒビが入ったりしていた場合は、ヒビの修復費用はもちろんですが、そこからの雨漏り等の被害も保険の補償対象外となります。

窓の建付けが悪くなっていて、隙間ができていたところに、台風で雨が浸入してきて内部に損害が発生したという事案も対象外です。

ただし、ヒビなどの共用部分の外部の損害が経年劣化なのか、『風災』の対象になるのかの判断は、保険会社の調査員が行うので、相談してみるのに越したことはありません。

自分では経年劣化だと思っていたことも、保険会社へ相談してみたら対象でした、なんてことがあればラッキーです。

吹き込み

たとえ台風が原因だったとしても、「台風の日に窓を開けっ放しにしていて、共用部分の内部がびしょびしょに濡れてしまいました」というような場合には保険の対象外となります。

風によって雨や雪が入り込むことを、「吹込み」といいます。

わざとやる人はいないでしょうが、保険はそもそも偶然起こったことによる損害を補償するものです。

空いていた窓から雨が入ってくることは誰でも想像できますので、偶然性がないという判断になります。

この吹込みに関連して、『砂塵やこれに類するもの』や『しみ込み、漏入』も対象外になっています。

窓の開けっ放しは、保険の対象外なのでくれぐれもご注意ください。

修理業者のミス

リフォームや修理のために業者を利用することがあると思いますが、すべての業者が完璧にミスもなく施工してくれるわけではありません。

中には、雨漏りを直すために窓の修理をお願いしたのに、修理後、再び同じ箇所で雨水が漏れてきたなど、施工不良もあります。

また業者の方がうっかり機材をぶつけて窓を割ってしまった、というように物を壊されてしまうこともあります。

そういった、業者の施工不良や施工中の被害に関しては、その業者に責任をとってもらう必要があります。

具体的には、施工業者にもう一度雨漏りの修理を無償で依頼するか、別の業者に修理を依頼するための修理費用を賠償請求するのが通常です。

マンション総合保険では、業者による修理、点検、加工などの作業のミスによって生じた損害は対象外とされています。

責任の所在がはっきりしている損害なので、壊した人に直してもらうべきですからね。

マンション総合保険 雨漏り まとめ

マンション総合保険 雨漏り まとめ

マンション総合保険で雨漏りが補償されるかどうかは・・・、
雨漏りと同時に(直前に)建物外部の『風災』による損害が発生しているか?
『給排水設備事故』が原因となっているかどうか?
の2点です。

そして、マンション総合保険にその2つの補償が含まれていなければ、そもそも対象になりません。

今すぐ、ご加入のマンション総合保険の補償内容を確認しましょう。

雨漏りの原因がわからない場合

ここまで、マンション総合保険の雨漏りについてご案内してきましたが、雨漏りは原因の特定が非常に難しいと言われています。

建物を外から見ただけではわからないケースが多く、その原因を調査するには、結構な費用がかかることもあります。

原因がわからないと、どの保険のどの補償から出るのか保険会社としても判断が付きません。

そんなときに役立つのが『水濡れ原因調査費用』です。

『水濡れ原因調査費用』は、マンション内で発生した水濡れ損害の原因調査費用を補償するものです。

保険会社によっては、共用部分の給排水管は対象で、雨漏りは対象外というところもあるので、よくご確認ください。

水の損害は雨漏りだけではない

マンションの共用部分だけで雨漏りや水濡れ損害を考えると比較的簡単ですが、マンション全体で考えると、原因はどこで、損害はどこなのかを考えると、色んなパターンが想定できます。

保険で対象になるすべての雨漏り、水濡れのパターンに対応するには、『風災』『給排水設備事故の水濡れ』『施設賠償責任補償』『個人賠償責任補償』『水濡れ原因調査費用』が必要になります。

さらに、今回は説明しませんでしたが、同じ水に関する損害の洪水被害に対応するには『水災』も必要になります。

毎年のように水の損害は増えています。

今ご加入のマンション総合保険が、住民みなさんのご希望に沿ったものなのか、チェックすることが大切です。

チェックしてもよくわからないという場合は、マンション保険相談センターにご相談ください。

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