マンション総合保険の風災補償はここがポイント!5分で徹底解説

みなさんこんにちは。
保険相談ラボ編集部です。

先日、あるマンション管理組合の理事長から下記のようなお問い合わせをいただきました。

「マンション管理組合で火災保険に加入していますが、風災の補償は必要でしょうか?
マンション内で話が上がり、不要ではないかとの意見が出たので、外して保険料を安くしたいのですが。」

マンション管理組合で徴収している管理費を少しでも安くしたいという要望で、マンション総合保険を見直したいとのことでした。

保険の加入時、更新時には案内を聞いているはずですが、ふとした時に疑問が出てくるものです。

そこで今回は、風災補償でどんなことが補償されるのか?など風災補償のポイントを解説していきます。

目次

マンション総合保険の風災補償とは?

マンション総合保険は、マンション管理組合がマンション共用部分にかける火災保険です。

主な補償内容として火災・風災・盗難・水濡れ・破損・水災・地震などというような名称がついています。

「風災補償」という名称だけではわかりにくいので、まずは、風災補償とはどういう内容なのか見ていきましょう。

風災補償の内容と事故例

マンション総合保険に限らず個人が加入する火災保険でも、一般的に風災とは、風・雹(ひょう)・雪を含めた損害の補償を指します。

風災とは

風災 ・・・ 台風、竜巻などの強風による損害
雹災 ・・・ 雹(ひょう)による損害
雪災 ・・・ 雪による損害

マンション総合保険では、共用部分の建物や設備、動産が壊れたり、ひび割れたなどの被害が生じた場合に、その修理費などを補償します。

風災

台風や強風によってマンションの建物や付属設備が風圧で壊れた場合や、周辺から物が飛んできて、建物や設備に衝突して壊れた場合、または、建物外壁等が壊れた結果、建物内部に雨水が浸入し、建物内部に水濡れ損害が発生した場合を風災といいます。

平成30年に襲来した台風21号では大阪方面で、令和元年房総半島台風、令和元年東日本台風では、東日本を中心にかなり大きな被害となりました。

住宅の屋根材(瓦など)が飛ばされてしまい、周辺建物の窓ガラスを割ってしまったり、物置が倒れる・飛ばされてしまうなどのケースが多かったです。

特に何台もの車が飛ばされてしまったり、鉄柱、鉄塔が倒れているニュースも衝撃的でした。

台風の際には気象情報に注意し、命を守る行動をとってください。

当時はマンションの被害も多く報告されました。

風災によるマンションの事故例
  1. スレート(屋根材)が地上8階の窓を突き破ってきた
  2. 屋上の倉庫が風に耐えきれず、倒れて地上まで落ちてしまった
  3. 共同の自転車置き場の屋根が強風により飛ばされてしまった

同じ台風でも洪水は、風災ではなく水災です。
台風による洪水で、マンションに被害が出るケースも増えていますが、同じ台風が原因でも、洪水などの水害は風災ではカバーできません。
洪水や内水氾濫などの損害は、『水災補償』でカバーできます。
水災は、ほとんどの保険会社がオプションにしているので、特約をつけないと補償されないので、注意してください。

雪災

雪災は、積もった雪の重みによって、建物がゆがんだり、屋根がへこむなどの損害が多いです。

雪災については一軒家とか、ビニールハウス、カーポートなどの被害が圧倒的に多いですが、マンションの被害もないわけではありません。

屋上に設置している給水用の水槽や、マンションで共用のアンテナを使用していれば、それらが押しつぶされるといった被害を受ける可能性もあります。

また、屋根に積もった雪が地上へ落下するという危険性も考えられるため、地上にあるものも被害を受ける可能性は十分にあります。

雪災によるマンションの事故例
  1. 大雪が降ったあと屋根から落雪し、1階共用部分の屋根が壊れた
  2. 大雪の後、みぞれ混じりとなり、雪の重みで共用の自転車置き場の屋根が潰れた

雹(ひょう)災

雹(ひょう)災で多いのは、雹(ひょう)がぶつかって天窓が割れてしまったとか、室外機がへこんでしまったというようなものです。

マンションの窓ガラスは、中に金網を入れるなどして強化しているものが多いですが、それでも割れるのを完全に防げるわけではありません。

また雹は大きさも降ってくる強さも一粒ずつ変わるため、どんな損害が出るかわかりません。

風災補償の免責事項

免責とは、保険会社から保険金が支払われない場合をいいます。

風災が起きても保険金が支払われない場合として、「吹込み、浸込み、漏入」があります。

「台風の日に窓を開けっ放しにしておいたら、雨と風が吹き込んできて、部屋がびしょびしょになってしまった。」

窓の開けっ放しや、雨漏りがするような損壊箇所を放置しておいたことによって、壁紙が使えなくなったりクリーニングを入れたりした場合は、契約者の責任なので保険会社は保険金を支払いません。
ただし、台風による飛来物で窓が割れてしまったために、部屋が濡れてしまった場合には補償の対象となります。

また、マンション総合保険では、契約時に免責金額というものを設定します。
免責金額は、「損害があっても設定した額は自己負担する」というものです。

仮に免責金額を5万円に設定し、10万円の損害が発生した場合、保険から5万円が支払われ、5万円は自己負担となります。

また、最近では少なくなりましたがフランチャイズ方式という選び方もあります。
このフランチャイズ方式は、損害の額が20万円未満の場合、保険金が支払われません(0円)。
そのかわり、20万円以上の損害が認められれば、損害額の全額が保険から支払われます。

保険金請求の期限は?

台風による損害が発生しても気づかなかったり、保険金が下りると思わなくて報告しなかったり、というケースもあると思います。

一般に、火災保険の請求期限は、事故があった日から3年間とされています。

つまり台風によりアンテナが折れてしまっても、その日から3年間は保険金の請求権があるわけです。

しかし保険金が支払われるような事故が起こった場合には、なるべく早く保険金請求をしたほうが良いです。

時間が経ってからの請求になると、「本当にその日の台風で壊れたのか?」という因果関係がわかりにくくなりますし、その間に直してしまっていたら請求自体が難しくなる可能性もあるからです。

マンション総合保険に風災補償は必須

マンション総合保険に風災補償は必須

マンション総合保険について風災補償の内容や、基本的な事項を説明してきました。

ここからは風災補償の必要性や、契約プランから外せるのかなどを解説します。

マンションの風災事故は共用部分で起きている

マンションで起こる風災の事故については、ほとんどの被害が共用部分に起きています。

マンションの外壁や窓ガラスなど外に面している部分や屋外の設備、敷地に生えている植物なども被害を受けやすく、逆に躯体部分や窓に守られている専有部分は、被害を受けにくいためです。

風災の被害は共用部分で発生することが多いため、共用部分の風災補償は必要性が高いと言えます。

風災補償はマンション総合保険契約に必ず付帯するもの

風災補償について必要性も述べましたが、風災補償はマンション総合保険の契約プランから外すことはできません

保険会社によって範囲の違いはありますが、基本的には以下のようなプランが必須の契約となっています。

マンション総合保険の基本プラン

火災・落雷・破裂・爆発補償
風・雹・雪災補償
水濡れ等補償
建物外部からの物体の衝突等補償
盗難補償
事故時諸費用補償

だいたい、上記のような補償内容を基本プランとして、オプションで水災や破損、賠償責任の各補償などを用意しています。

オプションは付帯するかどうかによって保険料は上下しますが、基本プランは原則外すことができません。

外すことのできない基本プランの保険料を抑えたい場合には、以下の2点の方法があります。

保険料は抑えられますが、デメリットもありますので、注意してください。

保険料を抑える方法① 免責金額を設定する

免責金額は自己負担額ともいい、この金額を高く設定するほど掛金は安くなります
損害があったときに保険会社が支払う保険金が少なくなるためです。

風災のフランチャイズ方式についても同じことが言え、20万以上の損害について全額支払われますが、20万円に満たない損害は保険金支払の対象外となるので、それだけ保険会社の負担が減っているということになります。

免責金額を20万円まで設定できる保険会社もありますが、保険料が安くなる分、必ず自己負担が発生するため、注意が必要です。

保険料を抑える方法② 付保割合を小さくする

火災保険は建物が全壊したときに、新しく同じような建物を建て直せる金額=評価額で掛けておくのが理想的です。

ただ、マンションは自然災害などによって全壊する危険性はかなり低いため、実際に保険金を請求する際には評価額に達するような損害はほとんどありません

評価額に対して、何%の支払限度額にするという付保割合を設定することができます。
付保割合が100%の場合は、評価額=支払限度額
付保割合が80%の場合は、評価額×80%=支払限度額
となり、支払限度額を下げることによって、掛金をおさえられるという仕組みです。

ただし、あまりにも限度額を下げすぎると、損害が発生した場合に足らなくなってしまうこともあるので、注意が必要です。

マンション総合保険の風災補償について まとめ

風災補償については、マンション総合保険を契約する際に外せないものですが、昨今の異常気象や台風の災害を見るといつ被害にあって保険を使う日がきてもおかしくありません

記事の中でも取り上げましたが、近年の台風被害は多くの人の想像を超えたものだったと思います。

そんな台風が去ったあとに、自分のマンションに損害が発生した場合、保険が使えるかどうかはかなり重要なことだと思います。

また台風の被害は大きいものもあれば小さいものもあります。
小さい被害についても、相談してみたら保険が下りた!というケースも多いので、何かあったらすぐに建物の点検をしたり、保険会社へ相談してみることをおすすめします。

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