退職金の相場はいくら?その準備方法はどうする?

中小企業の経営者にとって、自身の勇退資金と従業員の退職金を準備することは、非常に重要な経営課題の一つと言えるでしょう。ただでさえ優秀な人材が集まりにくい中小企業。一人でも多くの人材を確保し、繋ぎ止めることは、経営資源を守る観点からも非常に重要です。

今や転職が当たり前の時代。少しでも企業が魅力的であり続ける為には、福利厚生の充実が非常に重要です。労働時間や働き方等のワークライフバランスはもちろん、将来の退職金等資金面の充実も非常に重要です。

では、どのように退職金の準備を行えばいいのでしょうか。結論から言うと、現金・預金でコツコツ積み上げて行くことはナンセンスです。なぜなら、資金の色分けが難しいからです。

また、利益部分からキャッシュを積み上げることで、その金額が課税対象になります。資金区別も難しく、法人税の課税対象にもなる。つまり、退職金を準備する為にはそれなりの対策を練る必要があるのです。

では、どのような手段で、いくら積み立てればいいのでしょうか。ここからは、具体的な退職金の準備方法と、一般的な退職金の相場について確認して行きます。

【サラリーマン、経営者、公務員。気になる退職金の相場を確認。】

話に入る前に、大前提として押さえて頂きたいことは、退職金が支払われない企業もあると言うこと。その件数は年々増え続けている傾向にあります。基本的に、退職金の支払いは企業にとっての義務ではありません。就業規則に定めなければ退職期の支払いを回避することも可能です。その点はあらかじめ確認しておきましょう。

ここからは退職金の相場について確認して行きます。
まずは、サラリーマンにおける退職金の相場から確認しておきましょう。基本的に、民間企業における退職金の計算方法は基本給と勤続年数をベースに算出します。その計算式は1ヶ月分の基本給×勤続年数×給付率。平均的な給付率は自己都合の退職で58%程度、会社都合の退職で67%程度と言われています。

では、その相場いくらなのでしょうか。もちろん東証一部上場企業と中小企業ではその受給額に誤差があります。また、それぞれの企業が所属する業種の景気の善し悪しによっても受給額は前後します。

数年前のデータになりますが、厚生労働省の調べによると大卒で1950万円程度、高卒で技術職の場合には1670万円程度との発表もなされています。対象は勤続20年以上かつ、45歳以上のサラリーマン。すぐにやめてしまった人は対象に含まれていません。上場企業のような大企業に所属している場合は、確定拠出年金の加入状況に注意してください。

本来であれば退職金として支給される金額が、確定拠出年金のファンドに流れているケースがあります。こちらに流れてしまっている分は60歳まで引き出すことは出来ません。よって、いくら長く努めても、退職日時点で受け取ることが出来る手取額が非常に低くなるケースもあります。その点はあらかじめ確認しておく必要があると言えるでしょう。

続いて、公務員が受け取る退職手当について確認して行きます。常勤で勤め上げた場合にはその金額は2200万円程度。東証一部上場の名の知れた企業は別格ですが、中小企業のサラリーマンよりは優遇されていると言えそうです。

最後に、中小企業における経営者や役員の退職金。こちらは、退職金算出の考え方、受給額共に、一般従業員のそれとは大きく異なります。算出のポイントとしては、功績が考慮されること。特に、創業経営者であれば、その退職金額が弾むことは当たり前です。

退職金を求める為の計算式は、役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率。月額の役員報酬に、在位年数を掛けるところまではサラリーマンの計算方法と同様です。功績倍率によって大幅な差が生まれるのが経営者と役員における退職金。この点は、押さえておきましょう。

では、実際の支給額の相場はいくらなのでしょうか。日本実業出版社による調査データによると、会長職で約5000万円。社長職で約4000万円といったところです。専務クラスでは2500万円程度が一般的と言われています。ただ、調査の際のモデルケースが少なかったようですので、あくまで参考程度として考えてください。

【従業員の為の退職金はどのように準備する?】

サラリーマン等の働き手にとって、福利厚生の充実度合いは非常に重要。特に、老後の生活に不安を抱える人は少なくありません。では、企業側はどのように資金準備を進めて行けばよいのでしょうか。

ざっくり言うとその方法は、公的制度利用と民間の保険制度利用に大分出来ます。まずは、公的制度利用で退職金を積み上げるケースを確認して行きましょう。こちらは中小企業退職金共済を利用します。独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部が運営している制度で、国が掛け金の一部を助成。基本原則は、事業主がお互いに掛け金を拠出し合うこと。従業員の全員加入も、同制度利用に際しての加入要件の一つになります。

その一番のメリットは国の助成が受けられること。事業主負担も非常に軽く、その掛け金は5000円から30000円の範囲で任意に設定出来ます。また、その手続きも非常に簡単で、ほとんどの中小企業が加入出来ます。その手続き自体は、商工会議所や銀行窓口で書面のやり取りをすることで完結。

しかし、中小企業退職金共済における一番のメリットは、その退職金が対象従業員に直接支払われること。つまり、会社の経理処理には影響を与えず、赤字計上リスクを避けられるのです。

次に、民間保険会社の制度を利用したプランについて確認しておきましょう。まずは、養老保険を利用するパターン。法人契約で役員や従業員を被保険者とし、養老保険契約を結びます。満期時には法人が満期保険金を受け取ることができ、被保険者死亡時には遺族に保険金が支払われます。

いずれにせよ、最終的に保険金が支払われる分、その保険料は高額になります。加入におけるメリットは、その掛け金を半額損金算入出来ること。また、法人が満期保険金を受け取った場合の課税対象もその半額に収めることができます。法人契約のがん保険も大枠の仕組みは同様です。支払い保険料の半額を損金に算入することができ、出口の節税効果も大きい。従業員の退職金準備に際して有効と言えるでしょう。

【経営者の勇退資金はどのように準備する?】

結論から言うと、事業保険を利用することが無難です。全損、半損によるタイプの違いはもちろんですが、退職金の受け取り時期がより重要になってきます。基本的に、目先5年から10年後に勇退時期が迫っている場合には、逓増定期保険を活用します。解約返戻金返戻率のピークが比較的早くピークを迎えるので、早急に退職金準備を行いたい場合に、最適の保険です。

また、勇退の時期は分からない。でも、将来の為に退職金の準備はしておきたい。そのような場合には思い切って生活障害保障型定期保険を利用することも一つの手段でしょう。こちらの保険の特徴は、支払い保険料の全額を損金に算入できること。入口の節税効果が非常に大きいことが特徴です。

また、解約返戻金の受け取り方さえ間違えなければ、出口でもかなりの節税効果を期待できます。実質返戻率が100%を超える期間が10年程度あることが普通なので、余裕を持って事業承継プランを練ることが可能です。